ハタゴイソギンチャク飼育のコツ

何年も長期飼育されている方もいらっしゃるとは思いますし、おこがましいのは承知の上で、現時点で私たちが考えるハタゴイソギンチャク飼育のコツを共有しておこうと思います。 あくまでも我が家の環境での話。 そしてうちのハタゴ飼育は8ヶ月。まだまだヒヨッコではございますが、ハタゴが上手に飼えないという方の参考になれば幸いです。

目次

  • 良い個体を選ぶ
  • 照明のポイント
  • 餌のあげ方・選び方
  • アクシデントが発生したら

良い個体を選ぶ

ショップで選ぶときに注意するポイントは以下の通りです。 これらはハタゴイソギンチャクに限らず、どのイソギンチャクにおいても共通の事柄です。

入荷からどれくらいの時間が経っているか

イソギンチャクは輸送にとても弱い生き物です。 環境変化や振動のせいで輸送するだけである程度は弱ってしまいます。 そんな入荷直後の個体をさらにショップから水槽まで移動させるのは危険なので、入荷直後の個体は避け、入荷から1週間以上経っている個体を選びましょう。 ショップによっては取り置きしてもらえることもあるので、希望のハタゴイソギンチャクが入荷したとしても焦らず、1週間はおいておいてもらうことにしましょう。

触手が自力で動いているか

水流によってそよそよとなびいている姿は綺麗ですよね。 ですが、イソギンチャクは水流がなくとも触手を自力で動かしています。 ショップで見るときは、水流に関係なくランダムに触手が動いているかどうか、チェックしましょう。 もし水流の強い場所に置かれていて確認できない場合は、可能であれば水流のない場所で確認させてもらう、というのも手段の一つです。

触手が長く、ふっくらとしているか

ハタゴイソギンチャクの健康のバロメータは何と言っても触手です。 ふっくらと太い触手が、長く伸びているか。 これだけでも十分健康チェックになります。 時間帯(ライトの強弱)や給餌のタイミングによっても違いますので、時間をおいてじっくり観察して見ると良いでしょう。

土台にしっかり活着しているか

うまく活着できていない状態だと弱ってしまいますし、弱っているとうまく活着ができません。 しっかり足を踏ん張れている状態かどうかを確かめます。

クチが閉じているか

イソギンチャクは調子を崩すと口を開きます。 さらに悪くなると口から内臓がベロンと出た状態になります。 しっかり口を閉じる元気がある個体を選びましょう。 ともかく、ショップで時間をかけてじっくりと観察し、自宅水槽までの移動にも耐えられそうな元気そうな個体を選ぶようにしましょう。

照明のポイント

イソギンチャクは光合成で栄養を蓄えますので、照明は重要なポイントとなります。 ハタゴイソギンチャクは、自然界では水深10m前後のサンゴ礁斜面や水路の岩礁に付着して生息しています。 引き潮の時に現れるタイドプールで見かけたこともあるので、比較的浅瀬に住んでいるようです。 つまり、太陽光をたくさん浴びて育っている、、ということは、照明も強めが好ましいです。 一説によると、メタハラでの飼育が一番適しているとも言われているようですが、我が家ではシステムLED照明で飼育しています。 LED照明が進歩している現在、メタハラで飼育する方がハードルが高いのが理由です。現に、問題なく飼育できているうちはこのままでも良いと考えています。 なるべくUV照射を強くし、海で生息している時と同じくらい十分に光合成できるようにしてあげましょう。 とは言っても、ハタゴイソギンチャクは自力で動けますので、照明が足りない場合は上に移動しますし、普段から様子をよく観察しておくことが大切です。

餌のあげ方・選び方

イソギンチャクは光合成で栄養を蓄えるので、餌はあげなくても生きていけます。 ですが、餌をあげることでより多くの栄養を一気に得ることができるので、例えば痩せてしまっている時や、光量が足りない時などに補完することができます。 また、餌を与えることでハタゴイソギンチャクは大きく成長しますので、水槽が狭くて大きくなって欲しくないからという理由で給餌しないという人もいるようです。

餌のあげ方

我が家では、手で餌をつまんでハタゴイソギンチャクの触手に触れさせ、ハタゴが取り込むように与えています。 ハタゴイソギンチャクの場合は胞子毒がありますので、素手で触るとかぶれたように皮膚が荒れてしまいます。触れてしまわないように注意するか、ピンセットなどで与えるのも良いでしょう。 また、自然界では生物を捕食していることもあるため、生きているように少し揺らすのも効果的です。

餌の選び方

もし、誰かに「ハタゴイソギンチャクの餌は何がいい?」と聞かれたら 「アネモネペレット」をおすすめします。 ですが、我が家のハタゴには生き餌を与えています。 ちょっと言いづらいのですが、デバスズメやルリスズメなどのスズメダイを購入してあげています。 わ〜!って思いました?思いますよね。可愛がってる人もいると思うのであまり大きな声では言えません。 また、小魚などを餌にすると、骨がうまく消化できず消化不良を起こしてしまうこともあるようなので、ペレット餌をあげるか、イカや魚のお刺身を少し分けてあげる、というのも良いようです。 うちのハタゴは、小魚をあげると周辺に骨のカケラと思われる破片が落ちていることがあります。消化できないものをきちんと排出できているようなので、現状は問題ないと考えています。 魚の栄養を吸収しているからでしょうか、とても元気で大きく育っています。 一方で、褐虫藻が抜け、色が白っぽくなりました。これは照明の問題なのか餌のあげすぎなのかは不明です。 照明はずっと変えていないのにここ1ヶ月ほどで急激に白くなったので、アクシデントの発生と、その後の餌のあげすぎが原因かもしれません。

アクシデントが発生したら

ハタゴイソギンチャクは、場所が気に入らないと動きます。 結構動き回ります。 うちの状況からいくと、夜中に動くことが多いように思います。 動いてしまうことで起こるアクシデントはイソギンチャク飼育のつきものですが、そんな時には焦らず被害を最小限に止めるように努めています。 アクシデントの種類別に、我が家での対処方法をご覧ください。

サンゴに接触した!

基本的に、イソギンチャクとサンゴを同じ水槽で飼育することは難しいです。 でも水槽がふたつもみっつもあるわけでもなく、イソギン水槽を個別に立ち上げるのも難しい。 そして、イソギンチャクは水質が良くないと調子を崩すので、サンゴを飼育できる水質を維持するバロメーターでもあるので一緒に入れたい。 サンゴとイソギンチャクが同じ水槽にあれば、水景も素敵ですよね。 なるべく接触しないように

  • サンゴとイソギンチャクはできるだけ離す
  • イソギンチャクが活着するまではサンゴは入れない
  • イソギンチャクとサンゴの間にライブロックでガードする

などの手段が必須になります。 それでも接触してしまったら! 気づいたらすぐにサンゴを移動させましょう。 ごめんなさい。それしかありません。

水流ポンプに巻き込まれた!

よく聞くトラブルですし、実際によく起こります。 なんででしょうね?水流ポンプに向かっていく気がします。 そんなトラブルを避ける方法は

  • 水流ポンプにカバーをつける 市販のスポンジなどもありますね。
  • 水流ポンプをライブロックでガードする うちは2回巻き込まれましたが、こうしてから巻き込まれることはありませんでした。水流を弱らせず、ハタゴが入りたくないような狭い場所にする、というのがポイントでした。
  • 巻き込まれないポンプを選ぶ 今、うちのポンプはこれです。TUNZEのWAVEBOXを設置しました。安心!

もし巻き込まれてしまったら

  • 気づいたらすぐポンプを止める
  • イソギンチャクを引き離す
  • ガッチリくっついている場合、引きちぎるつもりで離す

まずはこれです。はがすときに触手がちぎれることもありますが、触手は再生します。もう思い切って離してやってください。 そして、触手がちぎれたりボロボロになったイソギンチャクは、水流が弱めの落ち着いた場所に置きます。 ハタゴイソギンチャクは岩に活着するので、岩で囲んであげるのも良いですね。 このとき、アカホシカニダマシやクマノミ類がいると、壊死した触手をちぎって再生を促したりと、役に立つことがあります。 逆に、弱ったハタゴにさらにストレスを与えることもあるようです。 うちの場合は、アカホシカニダマシとスノーフレークオセラリスがせっせと壊死部分をメンテしていて、そのおかげで復活できたと思っています。

フローパイプに入り込んだ!

こんなトラブルは滅多にありません。 大抵のオーバーフロー水槽は3重管か、コーナーカバーがあるので大丈夫だと思いますが、うちの2重管でやられました。 対処方法は以下の通りです。(こうするしかないけどほんと)

  • ポンプを止める
  • 他の生体を別の水槽やバケツに避難させる
  • 水を抜く
  • パイプを抜く
  • パイプからハタゴが出てくるのでバケツで受ける
  • この機会に水槽をリセット 底砂を洗い、水を全入れ替えする
  • 水槽が出来上がったら生体を戻す
  • 翌日くらいに元気そうにしていたら餌を与える

人間がしてやれることなんてほとんどありません。 ただ、大切なのは無事に救出できた後、ちゃんと栄養を補給させてあげることです。弱っているのは確実なので、ペレット餌などの消化の良いものを与えます。 元気に膨らんで広がれば完成です。 っていうかこんなトラブル聞いたことないし。